日向子さんが死んだ。享年四十六歳。七月二十二日(平成十七年)の未明だそうだ。しかし江戸好みの漫画家・随筆家の杉浦日向子さんに、新暦の命日は似合わない。昔風(旧暦)に云えば、水無月(六月)の十七日だ。江戸の頃は夜明けから一日が始まると数えたらしいから、亡くなったときはまだ前日の十六日。その夜は十六日なのに、太陰太陽暦(旧暦)の暦を見ると、満月であった。満面の笑みのような月に迎えられ、あの世へ旅立ったわけだ。昭和、平成へと金狂いになった今の人に、江戸への帰り道を教えてくれた貴重な人であった。日向子さんは生前、江戸の大店(おおだな)の総領に生まれ変わり、家督を弟に譲って若隠居で暮したいなんて書いていた。人間、死ぬと七日ごとに生まれ変わるチャンスがあるらしい。最長四十九日でまた新しい命に変われるそうだ。となれば、葉月(八月)六日(新九月九日)頃には、念願通り江戸へ生まれ変わり、向島か根岸の寮の縁側などで、煙管の煙でポワーと輪なんかつくってのんびり暮しているかもしれない。もって冥福を祈る。南無~。
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