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2013年5月18日 (土)

川柳手習所見習(せんりゆうきようしつにゆうもん) 弥生席ノ巻

 川柳葛西教室にやァせんげつ入門いたしやしたンでこれで二回目。はなンときァ前付けに一句秀に二句客に二句へえりやしたが花の弥生ハいかゞなりやすことやら。

 詠んで計りにかけてもらつた句はこんな塩梅でございやす。まず出子衆(でししゅ)が互いにまわして選ぶ互選句のお題は味噌。これは二句出すのが宿題でやして、あつしが詠んだのは、

   早いものあの味噌ッ歯も出ばななり

   淀殿は八丁きつい嫌いよう

 あとはそれぞれお三方の撰者が点つけをして宿題でやす。三題ありやしておのおの三ツッつ詠むのがお約束。初めのお題は、自慢。これはこう詠みやしたヨ。

   しやらくせえ鼻の高さを鼻にかけ

   歌麿にかかせたいよなオラが嚊

   手前味噌一寸先の闇知らぬ

 次のお題はちよろちよろ。こんな風に詠んでみやしてねえ。

   ちよろちよろの丘の早わらび摘むは罪

   お流れのちよろちよろ注ぎをおしいだき

   権兵衛はちよろちよろぱッぱ飯の種

 しめえのお題は中流でして、この三句をひねつてだしやして。

   うなぎ竹にぎりは中で亭主並

   下辰巳上は骨だが堀はこゝ

 サテ点はいかゞかと言やァ鼻もひッかけてもれえねえッてありさま。かろうじて前付けにいれてもらえたンが中流のお題で詠んだ、

   うなぎ竹にぎりは中で亭主並

 それと客にへえつたンが味噌のお題の、

   早いものあの味噌ッ歯も出ばななり

 こん月はこの二句のお粗末でございやした。

2013年5月 5日 (日)

江戸気質ソース焼きそば

喜三二江戸くいもの控 其の一

江戸気質ソース焼きそば

 あつし、この世に生を受けて初めてゝめえでこさえた料理ハなんて言ふとえらそうに聞こえやすが、そいつがソース焼きそばヨ。買喰いしたり見世(みせ)ェへえつてなんか喰ふなんてことハうちゞやァ賤しい所業だつてンでご法度だつたンだが、こつちも育ちざかりいつでも空きッ腹ヨ。そいだもんで八ツ時分にァ鳥渡(ちよいと)銅銭もらつて近所の見世ェ行つてソース焼きそば喰ふこと憶えたンがはじまりサ。見世ッてえのはミルクホールのなれの果てみてえなもんでネ。大福だの洲浜だの売つてゝ、見世ン中ァ細い鉄パイプ足のテーブルに椅子がいくつかあンだ。コンクリの床が凸凹だからねえ。テーブルも椅子もがたぴしゝてる。
 商ッてる喰い物ッたら醤油味のさつぱりした中華そば、これが東京風だがネ。それからカレーライス、夏になるッてえとカキ氷や心太(ところてん)。そんな見世でソース焼きそばちやちやッとつくつてもらつて喰ふンだ。具ハもやしとキャベツ、ほんの少々の豚の挽肉と揚げ玉。焼き上がりにぱらぱらト青海苔を振つてくれるンだが、この香りづけが命だネ。ソースのハイカラな香りとそれが混ざりあつてそゝてえ仕掛だ。歯ごたえはシャキシャキのもやし。この上手下手で勝負はつくネ。
 近所の見世で喰つてその作り方おぼえて材料買つてきてゝめえでなんべんも作つて喰つたが、都電の窓から眺めた田原町のソース焼きそばが喰ひたくてしようがねえ。そいでよォへふ(今日)足ィのしたッてわけヨ。雷門から小雨模様ン中ァ徒(かち)でサ。そしたら昔ィ軒並だつたンがいまァ生き残りァたつたの一軒ヨ。屋号ハ花屋ッてッたッて花ァ売つてねえンだが一歩へえると上さんが「焼きそばァつて尻上りの大声で訊くンでこつちも椅子につかねえうちに「焼きそばッてでけえ声で一発けえしておいて、それからゆつくり腰ィ落ち着けるッて段取ヨ。
 割箸パチンと割つてソース焼きそばをッたつて、正しくは麺だがネそいつゥ一口すゝりァ懐かしいあの香りがもふ口ン中いつぺえヨ。もやしの香りキャベツの甘味ソースの複雑な香りと甘味そして青海苔の清々しさ、これが四ツ巴で一ツになつて。
 あゝもうたまンねえなァ。喰つてゝうれしくなるねえ。こゝンちの量は鳥渡(ちよいと)小腹をみたすッてあんべえサ。飯の代わりに喰ふなんて不通(やぼ)ァやらねえンだ。これが江戸ッ子東京ッ子ッてもんだ。喰ふのも呑むのもさらりが身上。腹の皮が破れるほど喰つたり酔つぱらつたりするのはざまァねえもんナ。
 それにしてもソース焼きそばなんて妙ちきりんで旨ひもんどこの誰がかんげえだしたのかねえ。これも罪なもんヨ。花屋さんがんばつておくんなせえヨ。おたくが最後の頼りヨ。いゝ気分味わゝせてもらててお代は贋銀貨中三枚、穴空き贋銀貨一枚。〆て三百五十円。
(初出・Grutto VOL6  2013春  加筆)

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