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2012年9月21日 (金)

川柳東模様(かわにやなぎのゑどげしき)其二

 夏ァ暑いと相場はきまつておりやすが、ことしの夏ァ別誂えでございやしたナ。五右衛門も釜ゆではまだ涼しなんて言つたかどうか知りやせんが、根がつきやした。でもなンですナ。暑さ寒さも彼岸までなンて誰が言ひあてたかしりやせんが、ほんに彼岸になつたとたんに秋の気配。てえしたもンですゼ。ことしァ天保暦とも呼ぶ太陰太陽暦ぢやァ十三ケ月あるンですゼ。そいでもちやんと彼岸になるとずれもせず涼しくなる。日本のむかしッからの暦ァ発明(はつめい・りこふ)ぢやァありやせんかい。
 マそんなこんなでへばつてた躰も鳥渡(ちよいと)息つきやしたンで、憂き世に苦労があるとは聞くがそんな二文字は川端やなぎとうけながし五七五と洒落てみやした。

   しろは白くろは紅色長襦袢
 ちか比(ごろ)のわけえ女ァは玄人か素人か鳥渡(ちよいと)見ぢやァわかりやせんナ。みんな獏連(ばくれん)みてえな崩れた形(なり)ィしとりやすから。江戸ッころハわかりやすうございやして長襦袢は素人は白、玄人は紅色ッてのば相場だつたそふでやす。とハ言つても上野山下名物のけころは前垂掛けであきないしたと聞きやすから、まさか紅の長襦袢ぢやァねへでしよう。長襦袢どころか安直な腰巻ッてとこでやしようなァ。

   花魁をひいた夢見る四畳半
 四畳半と聞くと色ッぽい部屋のやふに思ひやしようがナニ江戸の長屋は四畳半一間があたりめえ。その日その日の日銭かせぎでなかなか世帯なんぞもてるやふなもンぢやァござんせん。デ公許の吉原振り出しに南ッて呼ぶ品川、辰巳の深川,足の達者なやつァ甲駅の新宿、かわりもんが千住、自信のねえ野郎は板橋の宿。いつち安直は神田川の浅草橋上手の柳原土手の夜鷹買ひ。湯島下、谷中、あがつて本郷大根ぱた(畑)、足ィのばしやァ音羽。ほかにもあちこちなんだかんだで六七十は岡場所があつたそふでして。女のほうもしつかりしとりやして鳥渡(ちよいと)いゝ女ァみんな芸事ならつて玄人になつちまふ。急に大都会にしなきやなンなかつた江戸は諸国から呼び寄せた工事人足職人の男の町。もともと女ァすくねえンだ。デますます男やもめがあたりめえッてえ仕第ヨ。

   長火鉢買つてやもめの腹を決め
 上に書きやしたやふに江戸の長屋は四畳半一間があたりめえ。だから長火鉢なンて大仰で重ひもん部屋の真ン中にでんと据えたら、嚊ァのきてがあつても長火鉢真ン中の川の字でッてえ不調法ヨ。

   洒落本を読んで吉原知ッた風
 吉原もいろいろでして仲の町にならぶぴんの大見世からおはぐろどぶゥ背にした羅生門河岸なんかの切りまでありやしたが、能(いゝ)見世はお茶屋をとおさなけりやァあがれやせんし、お茶屋も一見(いちげん)で通してくれるもンぢやァありやせん。お茶屋は客の払ひの請人なンでやすから身元のしつかりしてねえのは玄関払ひッて仕儀になりやすが地獄なんて呼ばれてた羅生門河岸辺はそんな面倒はござんせん。ちよんの間でして、鳥渡(ちよいと)ゆつくりしたけりやァお直しッてことで掛りがかゝるッて十露盤(そろばん)になつておりやしたそふですが、吉原のほんとうはこんなとこにござんせんナ。デ中見世から上ンとこを描いた洒落本があきないになつたッてわけでそれ読みかじつて知つたかぶりしてえンで山東京伝なンかの本が売れたッてことになりやすのサ。

柏餅九尺二間の秋の床
 長屋は間口が九尺、一間半ですな。奥行二間。ぜんぶの広さが六畳間見当。だが腰高障子あけてへえッたとこに奥行三尺巾一間半の土間があつてこゝ玄関とだいどこ(台所)かねておりやすから、足腰のばせる正味の部屋四畳半ッてことになりやすンで。長屋にやァ戸板がついておりやすが腰高障子は店子(たなこ)持ち。畳もへえつておりやせん。板敷のまンま。綿も布団側だつていまみてえにやすくありやせん。いちンちいくらで損料屋から借りるのがあたりめえ。いまのよふに掛布団なンかありやせんでねえ下は煎餅みてえな敷布団、うえは夜着(よぎ)ッ着物をかけてすごすンだが秋もふかまると冷えてきて夜着ぢやァつとまンねえ。敷布団ふたつに折つて柏餅になつて寝るッてえお粗末でございやすヨ。

2012年9月 5日 (水)

江戸語ッこ五 すさまじい

現代語のこれは江戸語ぢやァどう意ふかッてえことを明らかにすべえと辞書づくりをやつておりやして。御退屈まぎれにと鳥渡(ちよいと)ご披露いたしやよう、

現代語【呆れる】=江戸語【すさまじい】聞いて驚く、人を馬鹿にしている、などの意。鶴屋南北『東海道四谷怪談』(初日序幕)「イヤ、面目ないもすさまじい。」【馬鹿々々しい(ばかばかしい)】吉原の遊女の間から流行った言葉。なにかと使われた。式亭三馬『浮世床』(初編上)「髪結床(かみいどこ)といふものは早く起きる筈だに、馬鹿々々しい。」

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