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2010年11月 7日 (日)

巻の十 都々逸手前美素(どどいつてまえみそ)

 めつきり肌寒くなつて、こりやァこれで艶つぽい場が想われて都々逸にやァよござんすナ。三味はなけれど口ずさんでおくんなせへ。一ッときの気散じのおなぐさみ。

看板いちめえどこ吹く風と、奴は意地の寒ざらし
    ※奴の寒ざらし=奴は冬でも主家の紋を染めぬいた法被(看板)一枚に褌一つ。尻は寒さに白い粉を吹いていたとか。意地とハリだねえ。

箱屋お供に姐さんどちら、いちど呼びたい仇ッぽさ
     ※江戸ンころの芸者は三味線箱かついだ男衆(箱屋)お供にお座敷に往つたそうですナ。

あばよと抜けて大門くぐりャ、しんと冷えこむ明ケの空

ぴたりと三味の音がやむ二階、妙なしずかさ気にかかる
    ※奢侈禁止令がでた江戸ぢやァ派手な遊びはご法度。しようがねへンで柳ばし辺の船宿の二階で芸者よんで三味の音もひかえめにつま弾きでッてネ。

紅のついたる文(ふみ)もろて往く、はやる心の猪牙の波
    ※花魁からきた巻紙の文。唇で湿して切つた紅の跡(後)。つい釣られて猪牙舟の船頭に酒手はづンで、(三谷)堀までぐいでやつてくんなッてことになり。

こりゃ妙ぢや情(なさけ)深川、月島ばかり月夜かな
    ※なさけ深い、深川をかけた。
    ※吉原ばかりが月夜かな、のもじり。

想ひ残して出る大門に、明ケの烏がアホと鳴く

二階で待てば梯子とんとん、猫が爪弾く柳ばし
   ※猫=者(しゃ=芸者) ※二階=船宿の二階

曲げた袷工面でださにャ、風が身にしむ秋の宵
       ※曲げた=七の字の形から、しち(質)屋の意。

土手八丁往きは能(よい)々、帰りはつらい寒(かん)の朝

九尺二間の宵の冷や飯、独りかきこむ侘び茶漬け

上野山下けころの安買ひ、得なつもりがかさもらひ

秋の七草主の好みが、鳥渡(ちよいと)気になる女郎花

素足つめたい秋のひとり寝、あんか入れよか主恋し

秋雨に濡れ右と左に、門(かど)で別れる出会茶屋

小梅(こンめ)の寮で主待つ宵は、捨てた男が想われる

往きの八丁はものともせぬが、帰り夜明けの土手わびし

神楽坂なら粋でもあるが、軽子坂ぢや車押し

動かざること深川不動、疾(はや)きことなら三囲(みめぐり)サ

からすがカァで客は朝となり、女郎は夜で深寝入り

あんかモひとつ床にも仕込み、主をまつ夜は胸の花

木枯らし一号吹いては来たが、二号待つてる根岸里

舟をだしても舟頭(せんど)とふたり、不粋な奴にこい(鯉・恋)釣れぬ

哥(あにィ)浴衣に袷かさねて、下馬(したむま)すがた勇(いさみ)だネ

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コメント

喜のさま
ご無沙汰でした&初ブログコメントさせていただきます。

お江戸言葉の難しさに遠慮が先に立ち、気軽にコメントがしづらかったのですが、今日久々通して読ませていただいたら、不思議とすんなりと心に江戸の文化というか風景が溶け込んできた心持ちでした。

やはり、この言葉には都都逸しかないなって感覚にもなり、都都逸のリズムが本当に気持ちよいです。

躍起になって千首都都逸を詠んでいた頃は感じられなかったものが、少しはなれてみたら、すんなりと染みてくるとは!

改めて都都逸が好きになりました。

とは言え、昭和平成が染み付いたこの身には、なかなかすぐにはお江戸文化のまま理解するまでには至らないとは思いますが、これからも呆れずに都都逸仲間でいてくださいまし。

よろしゅうお頼みいたします。

moon3楠子姐さん江

 ありがたふおざりィやす。読んでくだすッて、そのうえ文ィ投げ込んでおくんなさつて、実正(ほんと)にうれしュうござんすヨ。皆さまがたもおンなじで、べらんめへの江戸語であつしが書いておりますもんで、なんか書こうかと思つてもつい腰が引けてトおッしャいやす。そんなもんでございやすからお書き込みはありがたひことでして。あつしの都々逸ハ姐さんが千首詠みに挑戦されてるのに刺激をうけての駆け出しの都々逸行脚にすぎやせんが、江戸の枠ン中でとしぼってやってみておりやす。そんなもんでございやすンで、鳥渡(ちよいと)毛色変りではございやすが、そこンとこご承知の上、こちらこそお仲間とお願へいたしとふございやす。

 喜の字

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