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2010年8月 4日 (水)

巻の六 都々逸手前美素(どゞいつてまえみそ)

 お暑うございやすナ。そいでも暑い暑いッてぼやいてゐても涼しくなるものでハなし。都々逸でもつくって気散じッてのが安上がりのお遊びでよござんしよう。

惚れたの声をたよりの棹に うき川竹の身をやつす 
  ※うき川竹=浮き川竹。明日はどこの岸につくかもしれぬ岡場所女郎の身。深川の掘割など汐の干満で竹が浮子のように漂うさま。
  ※棹と川、浮きと川、は縁語。

北へ往こふか南にしよか 気ッ風深川宵遊び

旦那涼しい顔してゐなさるが 火宅の内を言はぬ花

人を茶筅と思ふてゐるか 往くたび茶にし振りくさる

価千金一粒千両 親父にャ言へぬ甘露梅

汐の満ち引き川竹ぐらし 主のひと言もやい綱

北は格式南は漁師 西は馬士(まご)さん何処いこか

明けの烏がせかしちやゐるが 勘定すまにやかえしやせぬ

やらずの雨もふりこめられりャ 出るにでられぬ籠の鳥

雨で居つづけ銚子のさんま 匂ひが風にのつてくる

妬いてゐるのか雨サン止んで 相合傘の仲をさく

肩は濡れるが相合傘は 小振り仕立が妾(あたしァ)好き

雷(らい)に恐いと主にかじりつきャ とうにふるえてござつたサ

肌にひんやり主とふたりで 昼のうたたね蒲(がま)むしろ

さッとひと吹き通り雨さんハ いな背哥(あにィ)の伊達走り

添ふも添へぬもふたりの縁ヨ 無理でおしても花さかず

未練もつなと聞いてはゐるが ほんの恋なら消えやせぬ

暑さきらいな主さんのため 団扇打ち水来やしない

とんぼすいット飛んでどこ往く 妾(あたし)ァ往けずに待つばかり

とんぼ勝虫むこう見ずだよ 引くを知らずに押すばかり

あんないい人見たことないト 醒めて思えばただの人

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