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2009年10月27日 (火)

幕末気楽左平次(ばくまつふらんきーさへいじ)

 (青)二才の時ぶんに、幕末太陽傳観てフランキー堺の左平次振りにいちころになりやしたナ。日活の再開三周年記念とかなんとかで撮った活動でさァ。もふ五十年くれへめえにでかしたもんだ。棟梁は川島雄三。落語の居残左平次を柱に、そこへ品川心中だの三枚起請だのお見立てだのを織りまぜ、そこにまた倒幕の志士の書生ッぽい空ッさわぎを挟み込ませてゐるンだが、見所ハなんてッたってフランキー堺の左平次だねェ。あのすっとぼけた芝居がいゝやネ。あっしが見惚れたのハその芸当ヨ。浴衣ァ着がえるンだが、着てた浴衣ァすッと肩から落としやしょう。その刹那、足元においてあった新しい浴衣ァ右足の指でつまんで持ち上げてサ。それを手にとるッてえと、ぱッと頭越しに後へ放る。浴衣が広がっる。すかさず両手を万歳するッてえと、両の袖にするりと両手が通ってはらりと裾が下へ落ちて、もふ浴衣を着てるッて寸法サ。ちか比(頃)のわけェ役者にこんな芸当はできねヨ。フランキーはこれを羽織でも二度ほどやって見せておくれサ。なんとも気味がいゝぢやァありやせんかい。いかにものお調子もんで、鼻唄まじりでずっと生きてきた野郎ッて感じサ。
 場は品川。土蔵相模。板頭を張り合ってる二人の女郎が脇を固めてンだが、一人がこないだあっち側へいちまった南田洋子。も一人は左幸子、すぱッと切味のいゝ美人だねェ。この二人も芸当を見せるヨ。ありゃ何枚重ねッてのかね。厚さ三寸はあろふッて上草履で広階段をばたばたと手すりにもつかまらずに駆け下りたり駆け上がったりヨ。足元なんか見ねえンだ。なんでもねえようにやッちやァゐるが、思やァおッそろしいゼ。役者だねェ。吉原でいやァ花魁株のこの女郎とこゝの女将はちやんと鉄漿(かね)で歯を染めてんのヨ。それがまッとうヨ。遣手がまたいゝンだ。いかにも意地が悪そふで。菅井きんさんがやッてんだ。土蔵相模だのゝお女郎屋は海岸ぺりに建ってゐて、海から見りゃ三階建てだが、玄関のある街道からは二階建て。それがちゃんと活動の中で描かれてる。左平次が外から戻り玄関入るト階段下りるンだ。居残のあいつの部屋は行燈(あんどう)部屋だか布団部屋みてえなとこだから、下にあるンだ。この活動撮った比の品川の海ッペりァまだ実正(ほんと)に遠浅だったンだなァと懐かしような気分も味わえるッてのもみッけもんヨ。
 外題がなんで太陽かッてェば、石原裕次郎が出てるからなんだが、これが大脇役。三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたいッて都々逸つくった高杉晋作役やってンだが、髷が売出中の慎太郎刈ヨ。妙だよ、あの浪人髷ワ。あの人ほどヅラの似合わない役者はいないネ。
 あっしゃこの活動が忘れらんなくてねェ。ずっと天窓(あたま。頭)のすみっこにこびりついておりやしてゝサ。よく行く損料屋に訊いたがビデオはもふねへッと言ふのヨ。で、なんとかと探したら、なんと便利な世の中になりやしたヨ。録画円盤(DVD)になってンのさ。そいで損料払って観たッたわけさ。三遍も繰り返して観たゼ。いまァあの盤、買おうかト思ってるほどの惚れ込みよふサ。

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コメント

フランキーさんは好きなんでございますよ。
貝になりたいのもいいが、お喜楽気楽に浮世を謳歌してる男もよござんすねえ。
今度お江戸に舞い戻ったら捜させてもらいます。

moon3ねこじゃねえやいのお玉姐さん江

 ほんにいゝ役者さんだったよねえ。脇やってよし、主役やってよし。なかなかおりやせんナ。あゝした人と同時代でゐれたゞけでも仕合せかな。
 それにしても姐さんの文は、すみずみまで気が入っておりやすねえ。お喜楽気楽なんて、同じ詞を重ねねへもんナ。芸がこまかくッて読みごたえがありやすなァ。毎度楽しみだよ。

 喜の字

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