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2009年7月 1日 (水)

【番外】にやんの事だ

 東風吹かば梅雨[※1]も最中となに濡れ場[※2]、運も盛りの花と咲くべし。貧の棒引きこのあっしにも、風の吹きやふか豊穣雨の降りやふか、お宝の転げ込み。馴染み重ねし古書肆(ふるほんや)から、毎度の電子早飛脚[※3]。こんけえハ逃しちやならむの「洒落本大成[※4]」、補巻を入れて全三十巻、紙一めえの欠けもねへ揃い踏み。洒落本と言やあ、江戸がつくりあげた文の栄。野暮にや分からぬ粋の世界。ぜんぶまとめて引受やしやう。こいつを読まずにおらりよふかッてんだ。洒落本の皮ッ切り[※5]ト言はれる享保十三(1728)年の「両巴巵言(りょうはしげん)」から、「遊子方言(ゆうしほうげん)」ハあたりめえ、江戸のどんづまり慶應三(1867)年刊行の「苦界船乗合咄」まで、集めに集め写しに写した大労作。もふこの上ハ出やせんでしやうッてへ上々大々吉のおほ(大)たから(宝)本。祝の一献代わりの、お付き合い。天明元年(1781)夏四月跋止動堂馬呑作「にやんの事だ」ハヲ鳥渡(ちょいと)ご披露。「お手が鳴るなら銚子(てうし)とさとれとは。ずつとむかしの事にて当世は按摩はヒイと吹き。夜鷹蕎麦は。チリヽン\/とならし。人を呼ぶに。手を叩かずに畳をたゝく国有り。」ヲッとそいつァ柳ばしハ船宿二階の咄かいッてネ。「硯の海に筆をひたして。紙のついゑをいとひて。反故(ほうご)のうらへ書きしを。我朋(わがとも)來リて。くりかえし。ツヽ是はニヤンノコトダカ分らぬ。ニヤンノおもしろくも。ニヤントモなひといふをすぐに。ニヤンノコトダと。題すると云々」。ほんの序文のさわりだけ。本日ハこれきり。

【附(つけた)り】
[※1]東風吹かば梅雨。東風と梅は、菅原道真の歌で、縁語。梅と雨は梅雨で縁語。
[※2]なに濡れ場。なにぬれば、を濡れ場の字を充てて洒落た。
[※3]毎度の電子早飛脚。近松門左衛門「冥土の飛脚」のもじり。
[※4]「洒落本大成」。中央公論社、昭和五十三年より刊行。A5判。
[※5]皮ッ切り。背中に最初にすえる灸。皮を焼切るのでたいへん熱い。転じて、ものの最初の意。

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コメント

よろしいなあ、全揃いなんて豪儀なおかいもんやおまへんか。うらやましい〜。
ほんま、にゃんの事だ!!でっせ。

洒落本大成、ぜんぶ揃えるなんてことできまへんけんど、どの巻が面白いとかありますか?こんど大学の図書館に籠もってみてこようかとおもてます。

moon3Hiroko姐さん江

 いやァまだどの巻がおもしれへなんて言えねへゼ。なんせ全部で三十巻ですぜ。目移りしてしようがねへ。
 姐さん御籠りハむごいヨ。あゝおもしろかったッて書籍蔵からでてくる頃にやァ、花の命ハ葉と散り果てて、待ちぼうけの誰かさんハよぼのぢゞいになッて升(ます)ゼ。ご用心\/。とかくおもしれえことハ命取りだとよ。

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