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2009年5月 6日 (水)

一本勝負湯(いっぽんしやうぶゆ)

 花やのめえ通ったら、菖蒲の葉を売ッてンのヨ。おふそうだ、けふハ端午の節供[※1]だぜ。餓鬼もとっくの昔に大人になっちまいやがっていまじゃいっぱしに所帯かためて苦しい身ながら一家のあるじ。こっちァ孫のあるわけでもなしの隠居ぢゞゐのくたばり住ひ。鯉幟(のぼり)だの菖蒲刀だのなンてもんハまるっきりご縁なしのご無沙汰くらし。花やの姐さんありがた山のほとゝぎすッてンで、偽銀いちめえちゃりんと払ってけえり(帰り)、水風呂(すいぶろ[※2])に放り込んで湯ゥ沸かし、けふハめでたく菖蒲の湯。なつかしいぢァねえかえ。めえハいつ浴びたか思ひだせねほどヨ。急度(きっと)いゝ香りト胸ェはずませて湯蓋とったハいゝが、香りのかの字もしやしねえ。そうだったかね。菖蒲の葉ッてのハ香りはなしかえ。葉ッぱを嗅いだり、茎を嗅いだりしても香りァまるでありゃしねえ。こんなもんだったかねエ。そいでも鳥渡(ちょいと)浸かってるだけで、もふ流れる汗ヨ。それに第一清々しいや。二尺の余も真ッさおの緑の葉が湯ン中で剣先みてえ真ッすぐのびて威勢がいゝヨ。こいつァまさに菖蒲刀。武家の町江戸ぢァ軒に飾ったり、欠かせなかったわけヨ。菖蒲の葉ッてのハむかしァ干して文箱だの軸[※3]の桐函に入れやしたよねえ。虫除になるッてンだよネ。そんなら端午よりいっそ桃の節句にしたほうがいゝよふにあっしァ思ふンだがねエ。箱入り娘ニ菖蒲の葉ッてネ。 【附(つけた)り】 [※1]端午の節供。現在は新暦5月5日に行うが、本来は日本季節感に合った太陰太陽暦の五月五日(新暦5月25日)に行うのが正しい。 [※2]水風呂(すいぶろ)。江戸弁。据風呂が訛ったと言われている。 [※3]軸。山水画などの掛軸。

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コメント

喜三二さんも昨日は菖蒲湯にお入りになったのですね。
わたしも昨日は菖蒲湯を楽しみました。
季節ごとの行事を大事にする実家の両親の影響で、今はマンション暮らしのわたしも、出来るだけ季節を楽しみながら過ごすように心がけています。
ところで、菖蒲湯で一句・・・・と思ったのですが、なかなかいい句が浮かびません。(苦笑

わたしも昨夜、日付は変ってしまっていたけれど、菖蒲湯に入りました。葉に香りはないけど、根元にはほのかな甘い香りがありますでしょ。お節句だなーと思います。

乾燥して防虫剤にしていたとは知りませんでした。うふふ。桃の節句にですかーー。ま、悪いムシは困るけど、よいムシはついてほしいのが親心でしょうから(笑)

moon3ひよこ姐さん江

 いゝご実家ですねえ。むかしからの仕来りッてのはやっぱりなんらかの意味がありやすもンねェ。多分あったかくなってきて虫がこれから増える時期だから菖蒲の葉で防虫ッて狙いもあったのかも知れやせんねェ。
 むかしのことだから、鎧を飾って虫干しして、仕舞うときァ鎧櫃ン中に菖蒲の葉も入れたンかもネ。

 喜の字

moon3風知草姐さん江

 姐さんもお入りなすったンですかい。それがあっしンとこの菖蒲は根っこンとこ嗅いでみたんだが、香りァなしのつぶてヨ。そいでもいゝ湯でしたヨ。
 人間不思議なもんで、菖蒲湯なんかにへえると清々しくって、今年はなんかいゝことあるやふね気がしてくるからおもしれえもんですなァ。

  喜の字

ああ、それなら銭湯に行けばよかった。
京都の組合でも、そういう行事のときは菖蒲やゆずを浮かべてくれるんでしょうかねえ?
調べてみるとしましょうか。

moon3ねこじゃねえやいのお玉姐さん江

 京都はどうかねえ。お公家さんと白足袋の上層町衆の町だからねエ。菖蒲の刀でヤットウなんて、地下人みたいなはしたない真似したらあきまへんッてンで、菖蒲の葉ァ入れねかもしれやせんねエ。なんせ渋ちんですもんなア。

 喜の字

生け花の師匠(姿のいい、洒落たなりのちょいといかした年増ですぜ)に、菖蒲と芍薬をもらって部屋に生けておいたんで、気分は味わえましたし、余った葉はせせこましいながらも風呂に投げ込んじゃあみたが、根と違って香りはしなかったねえ。

真夏日の日向を花を持ってあるって半日、もうだめかと思ったが、どの花も水風呂につけ込んどいたら生き返ったんで。あきらめちゃあだめだね。江戸っ子はすぐあきらめて川にでも投げちまいかねねえ。

それはそうと、その京女も言ってましたよ、寿司はお江戸に食べにいく、地元のは食えねえって。都の寿司はとんだ代物よ。
さすがにそれぱっかりはいくら京都のお人でも自慢はできめえ。ま、山に囲まれてるからね。

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