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2008年1月 5日 (土)

新春浅草当吉縁(はつはるくわんおんあたりのきちえん)

 あれハ歳の暮れ、いくンちだったかはっきりァ覚えちァいねへが、観音さまへお参りし、さてそろ\/引き上げるかと、角ォ曲がッた途端の銀行めえ、凍えるやふな風の中、わけえ衆(し)がたった一人ぽつねんト屋台を張ッての小商(こあきない)、見下ろすあっしの目と、寒晒しわけえもんとの、すがるよふな目とがばっちり合いやして、そうなりァこのまゝ見過ごしに、捨ておくこともならねへ仕儀、黙って通れねへのが男の侠気、買う気もなかった富札だがァ、こうして出会うもなんかの縁、「兄(にい)さん、ちいとそいつヲ分けてもらいやしょう、ト財布ゥ叩いて譲ってもらひ、そのまゝどっかへしまってそのまんま、日を重ねてすっかり忘れ、年を越してしまったが、きのふテレビで富札に、夢ェ託したお人たち、老若男女を取り上げて、ゐるのを目にし思ひだし、そう言やァあんときあっしも買った、富札がどっかに仕舞ってあったはず、こいつを見ずに流しちまっちァ、あの寒晒しの兄さんに、申しわけがたゝねえのがこの世の義理、けふ家捜し見つけ出し、当落を見てみりァなんと、これがなんと金三千円の大当たり。こいつァ春から縁起がいゝわい。観音さまの恩お蔭。きっとお礼に参りやしょう。

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コメント

 ふゝゝゝ。観音様も弁天様も旦那の里帰りを喜んでいらっしゃるンでせう。
 新春に修行の門出のご祝儀と琵琶の音かなでて弁財天の粋な計らい一層の精進せよとの思し召し。
 ご利益、ご利益、幸先よおござんす。

▼仇吉姐さん江
 今年のあっしァ運がめぐってきてるンかもしれやせんゼ。こゝらでがらがらぽんの手慰み、なんて欲だしャ運が逃げていきやしょう。
 欲張らずに、観音さんと弁天さんにお参りしてりァあちらさんでいゝやふにしてくださりやしょう。
 姐さんのおっしゃる通り、精進\/。昼のお采は精進揚げ、とね。躰にいゝよ。

  やっぱり咄ァ食べ物に落ち着く 喜の字
 

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