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2007年8月 9日 (木)

其の弍 贋作良寛食(にてひなりりょうかんのゆうげ)

Photo  あるお方の日記をちらりと覗かしてもらいやしたら、赤だしに茗荷とありやした。オッこいつァ洒落が利いていなさる。涼しそう。いたゞきやしょう。あっしァまだやッたこたァねへ。茗荷と言やァお江戸だよ、なんてったッて茗荷谷ッて里があるくれへなんだから。
 あっしの苦しい身(※)按じておくんなすったお方たちから、風にのせて喰いもんをお運びいたでえた咄ァついこないだいたしやしたが、もってえなくていっぺんにァ喰えねへ。貧乏性でけち\/喰ってるンでその残りがまだあるッて寸法だ。そいつ活かしてけふもしのごうッて算段ヨ。
  電気氷室ォ鳥渡(ちょいと)覗くと、生湯葉のお姿。こいつァしめこの兎ッてンで、茗荷の赤だしの実ァこいつと決め、跡(後)はやっぱりお恵み残しおきの蛍いかの昆布締めで〆(しめ)よふッてこころづもりで仕度をすすめ、いざ湯葉をト氷室ォ開けりァオヤ湯葉がいつのまに油げに化けているぢァござんせんかい。てめへいつのまにトよく\/見りァやっぱり油揚(あぶらげ)ヨ。そうかこの野郎、はなっからそうだッたんだな。油揚ッて言やァお狐さまサ。そいで生湯葉に化けて誑(たぶら)かしがったナ。ふてえ野郎だ、刻んで御味御汁(おみおつけ)の実にしちまうゾってンで、昆布だしかつを(鰹)出汁ン中にぶち込み、さて味噌と思ひハテと天窓(あたま。頭)ァひねりやして、油揚に赤だしァどうかねェ、やっぱり並の味噌がお似合いだろふト替えやした。なんのこたァねへ、知恵ェいたゞいたンは茗荷だけとなっちまいやした。勘弁してくんナ、お知恵の主さんヨ。
  蛍烏賊ハ見た目でへじに、向付皿は青磁と染め付け掛け分けの角皿。有田は深川製磁のもんで、先々代からの譲りもの。そいつの隅にすだちィ櫛に切って添え、彩りと香りト洒落たッて魂胆サ。
 汁椀は、朱塗りの大振り木椀。飯は前の生姜の残りの始末。飽きもせずの生姜飯。繊切りを散らし、酒ェ奢り、昆布をかぶせて薄口醤油ひと匙ミ(三)匙。電気からくりの釜でもお焦げができるありがたじでへ(時代)ハ便利だねェ。
  飯の前にァお定まりの六勺の酒。つまみも残りの枝豆で、塩を効かせて茹であげて、益子の三ツ足皿に盛り上げて、こいつァけふもご馳走さん。脇の小皿にァ柳ばし、小松屋手むき浅蜊の佃煮置いて、祖父伝来の切られ与三の猪口を傾けりァ、けふも無事の宵となる。
 いたゞきもんでけふを〆、ありがた山の良寛食。ご世間さまニ天窓下げ、あしたもおねげへいたしやしたヨってネ。貧乏も三日過ぎたら習い性。喰うものハ風がもてくる贅の味。

附(つけた)り
(※)苦しい身。江戸の文化文政頃、貧乏をこう言った。

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コメント


 おお怖い・・。気ィ付けないと汁の実にされちまう。
ね~ェ、旦那。あたしにも尾っぽがあったらどうなさる?捕まえてくれるかねェ。時々チラッと見えちまうのさ、九つもあるからね。

 オヤ仇吉姐さんハお狐さんだったンかい。
 どうりで、江戸化けがお上手だ。

 狐ェ虎に化けるのご存ぢかい。
 サッと炙って刻み、葱の小口切りを散らして醤油をひと廻し、これが竹虎。葱の代わりにだへこ(大根)下ろしでやりァ、雪虎ヨ。
 いっぺんやってみねへナ。これをあてに酒でも酌めば、狐の姐さんもいゝ虎になれやすゼ。

 喜の字

 虎の威を借りる狐じゃないよ。 西普代の郭璞は「天下太平に現れる瑞祥」だとさ、拝み倒しておくれでないかい。 

さすがだねェ。並の姐さんぢァねへとハ文の書きよふで察しちァおりやしたが、畏れ入谷だヨ。
いっそ弁天さまになっておくれなら、拝んで拝んで拝み倒しやすゼ。

 喜の字

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