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2007年7月14日 (土)

ふくべ その參 銀彩見返り鹿瓢徳利 染付螺子手盃

Photo_3  注ぐときに、とく\/と柔らかい音で啼くのハこれも同じ瓢形の徳利のよさサ。胴のくびれを空気がぽこ\/と通り、そいつが音になるンでやしょうねェ。それがたまらず、もういっぺえッてことになっちまうのサ。
 銀で描いてあるンは、鹿だけぢァねへ。雉もおりやしてネ。狩の図ッてことなんでやしょうねェ。この徳利、じつァ対なんで。相方がありやす。そっちァ、確か金彩でしたゼ。
 恥ずかしい咄だが、わけへ時分に勤め人の真似ッこしておりやしてネ、その後社長におなりなすったお方トひねもんのあっしが妙に気が合いやして、湘南のお宅まで遊びに押しかけやしたのサ。そしたらこの徳利と盃で、酒を呑ませていたゞきやして、なんの腹もなくこいつァいゝ徳利と盃だトいっぺえ注がれるたんびに、あっしァどうも誉めちぎっていたようなんで。サテそいぢァおいとまッてことで、玄関で天窓(あたま。頭)下げようトしたら、コウ鳥渡(ちょいと)待ちなッてんで新聞紙にぐる\/包んでこの二つをくだすッたってわけサ。えらいもんもらっちゃったゼ。それからもう廿年ぐれへは経つがでへじにしておりやすヨ。飽きもこなきァ鬱陶しくなることもねへ、さっぱりとしていながら、格があるッてェしろもんサ。
 盃ァ透かすと灯が通るほど薄い磁器で、たぶん京焼きだろう。あんまり薄いンで縁が少し欠けておりやしたから、先に書いた祖父さんの盃と一緒に金繕を頼んだンだが、磁器はほんとうは出来ねへものだそうでネ。その内に適当に誤魔化してくれるとこ、息子の嫁が見つけてきてくれて、そこで繕ってもらいやしたのサ。
 親指と人差指で差し渡しの縁を持ち、口元へ酒を運ぶときなんぞはペシャっと割れるンぢャねえかと按じるぐれへ薄い造りヨ。だから、唇への当りもほんにいゝ。酒の味わいが二段も三段もあがるッてもんサ。

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