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2007年7月12日 (木)

いろはにほへとよめもせす その壱【解説追記】

Photo_2  葛飾應為(かつしか おうい)ッてお人の艶本の見開きが、画面いっぺえに出てゐる本が、あっしンちに転がっておりやすのさ。本だから転がるッてのハへんだが、マァそこらに置いてあるッて思ってくんねへ。
 このお人は、女絵師でネ。あの北斎に娘がゐたッてのハきいたことありやしょう。それがこのお人サ。本名だかなんだかハお栄ッて言ひやすそうでネ。おハ御だから、実正(ほんと)は栄一文字でやしょう。
 このお方、をんな(女)だてらに春画を物にしていてネ。をんなだてらッてのも変か。あのこたァ男と女の両方がゐねへぢァ出来ねえことだから、どっちが描いてもそれハそれでいゝンだが。それを写した今出来の本、新潮社ッて神楽坂にある蔦重[※1]が出したとんぼの本でやすのサ。その一冊に、浮世絵の極み春画ッて題で、あの林美一[※2]の旦那が書いてござるわけサ。
  デその見開きだがネ。そこに載っているのは、艶本『繪本つひの雛形』の部分ヨ。こいつにァ科白だのがへえっていやがる。たかゞッて言ッちァ應為の姐さんト世の通人に申しわけねへが、どうせ小難しいこと書いてあるわけぢァねへニきまってゐらァな。
  ところが、そのてえしたこともねへ文が満足に読めねへのヨ。エヽ、情けねへと思ひやしょう。江戸のその比(頃)ァ誰だって読めたもんだゼ。それがお上が定めた小学校でいろは習ったこちとらにァ読めねへ。これでいゝンかい、文科のおとゞ(大臣)さんヨ。トてめえの不精進棚に上げ、人さまのせいにしちャあいけねへナ。
  そいでサ。文ン字にうといあっしも好きと道連れで読めるかぎり読んで見たッてわけヨ。変体仮名やら崩し字だらけで手におえねへが、どうやらこうやら、こんなとこかなッてとこまで漕ぎつけやしたんで、跡(後)ハ○ン中埋めてくんねへ。○ッたって、伏せ字ぢァねへヨ。あっしが読めねへだけサ。分かったら、助けると思って教えておくんな。

  板かしら[※3]と
  いふもん多(だ)
     から
  末(ま)んと
      くめんハ
    よし多(だ)らう
「板がしら可(か)
     い遠(を[※4])かしら可(か)
              志(し)ら祢(ね)へ可(が)
  きゃく多(だ)ねが
              目(め)里(さと)いから
    い可(か)祢(ね)へ見(み)奈(な)
「奈(な)る保(ほ)どおめへハ
         む寿(す)めをむ古(ご)く
   使(つか)うふとめへて
                     志(し)多(た)つ爾([※5]に)
         あ多(た)つ多(た)
   口乃(の)やうに
   ○つ者(ぱ)せへ
             多(だ)
     古(こ)多(た)ア
  「そうさ日可(が)奈(な)
      いち爾(に)ち
        うへし多(た)乃(の)
    口のそうぢ爾(に)
            者(ば)かり
      かゝつて
            ゐらァ奈(な)
    天(て)者(は)やく三両(倆)に
                  奈(な)りてへ
  多(た)つ多(た)でへしが祢(ね)乃(の)
    かり可(が)四両(兩)や春(す)い女多(だ)
        そう多(だ)ん

  分かったところもありやしょうが、あっしにァ当て推量だらけの分かンねへとこだらけヨ。皆さん方のお知恵を拝借してへとこサ。
  しかしなんだねェ。こんなもんが読めねへッてのも、情けねへ咄ヨ、ほんにサ。色は匂ふッてのにネ。

附(つけた)り
[※1]蔦重。蔦屋重三郎。江戸で名高い版元。今に言う出版社。洒落て詠んだ。
[※2]林美一。江戸文芸研究家。時代考証、浮世絵の中でも春画の研究で知られる。大正11年生。
[※3]板かしら。板頭。板もと、とも。主に深川詞。吉原のお職に相当する。その月に最高の玉代を上げた芸妓娼妓。
[※4]い遠(を)。魚(いを、いほ)のこと。
[※5]爾(に)。原本は略字だが、電算文字に該当がないため、この異体字を用いた。

【解説追記】
 艶本の文の終りの方に、

天(て)者(は)やく三倆(両)に
                  奈(な)りてへ

 との一文があるが、これは三度目に上がった客、いわゆる馴染みになるとその夜、敵方(あいかた)の遊女に床花(とこばな)と呼ぶ心付けを出すしきたりがあった。花魁の位になると、その床花が三両であった模様。それを言った科白であろう。  

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