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2007年7月17日 (火)

猫ぢャ猫ぢャとおっしゃいますが

Photo_7  前に猫ゥ二匹飼っておりやしたのヨ。どなたさんでもそうでやしょうが、飼主ッてのハ親馬廉(ばか)と一緒。みンなてめえンちの猫だの犬がこの世でいっち可愛いト思っていやがる。あっしァそんな盆暗(ぼんくら[※])ぢァねへ。ほんにうちの猫ちゃんハ二匹とも天窓(あたま。頭)のいゝお利口ちゃんでやしたゼ。ありァどうみても、人に生まれるとこヲ鳥渡(ちょいと)神さんの手違いで猫になってあっしンとこに来たよふな賢さヨ。生きてりァ見せてへくらいだゼ。
  だが、切ねへこと身罷(みまか)ッちまったンでしょうがねへ。毎朝起き抜けのいの一番にお線香を上げ、ゆっくり待ってゝおくんなせへヨとお頼みしておりやすのサ。猫のめへにァ犬を二匹飼いやしたが、こいつらも賢いこと\/。まかり間違って人に生まれていりァ赤門首席だヨ。ゐぬに生まれたのがちょいとした不運サ。その代わり、人の世の苦しみ味わゝずにすんだゞけ、果報だったかもしれねへナ。
  デその犬二匹と猫二匹の俗名とご遺影に向かって、三途の川の向う岸で待ってゝおくれトお頼みしておりやすのサ。これで来世は磐石よ。ざまァみやがれッてンだ。
  そんでネ、最後の猫が死んだ跡(後)、あんまり悲嘆にくれてたら、すぐに次を飼った方がいゝよッなんてお節介言ふ間抜けがゐやがるのヨ。とんでもねへッて野郎だゼ。そいぢァ死んだ猫に操が立たねへだろうが。そうでやしょう。
  だから、あっしァその後は猫絶ちヨ。子猫一匹飼やァしねへヨ。その代わりッちァなんだが、うちにァ猫ッ可愛がりしてる猫が三ツおりやすのサ。その一つが、猫の陶枕。こいつァ夏のいま時分、昼寝にァもってこいッてしろもンだゼ。ひんやり天窓が冷えて、心地のよさァ絶品ヨ。
  つぎァ黒猫の文鎮。ちびの癖に重みがあって、本のこの頁抑えておけヨって言ひつけりァいちンちでも二日でもそっからびくとも動こふとしねへしっかり者ヨ。
  三ツ目は、長火鉢の猫板。紫檀と花梨の造りで、こいつも毎朝空吹きで磨きをかけておりやすヨ。本猫のゐた時分にァこの長火鉢ァとうにうちにありやしたが、この猫板にァ上がりやせんでしたゼ。猫ながら、主がでへじにしてる長火鉢に爪跡つけちァ申しわけがねへッて分別があったンでやしょうねェ、あいつにァ。 
  ナ、そこんとこ考えたゞけでも、うちの猫ちゃんがどんだけお利口か分かったゞろう。どうだ、驚いたか。

附(つけた)り
[※]盆暗。博打の賭場で金を賭ける場を盆(ぼん)と呼ぶ。丁半の賭金がかたよりなく揃ったことを瞬時に目測できる者を「盆が明るい」と言う。その暗算ができない者を「盆が暗い」と言い、略して「盆暗」と呼ぶ。

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コメント

 おみそれいたしヤしたよ。驚き、桃の木、山椒の木。ついでに、恐れ入り谷の鬼子母神ってね。 それだけ褒められれば、向こう岸で猫も赤くなってンじゃアないですかい・・・ま、まさか!その猫褒めないと化けて出るんじゃないでしょうね?

仇吉姐さん江

 あっしが猫なんぞ、鼻もしっかけねへト思っておいでゞやしたかい。
 ところがギッチョンってやつサ。わけえ比(頃)ァなんか好きぢァなかったンだが、押しかけ養子の猫が来てから変わりやしたネ。そいつが早死して、その跡(後)に亜米利加毛色ンが来たのヨ。こういふのハ縁だねェ。
 そいつがまた、あっしをほんとのとっつァんのように頼りにしやがってサ。もう泣けるゼ。めろ\/ヨ。
 すっかり根性抜かれちまったッてわけサ。だらしねへけど、そいつにも死なれたときァこどもか孫ォ亡くしたくれへつらかったゼ。
 歳ィとるとやわになっちまってサ。ざまァねへヤ。

 へろ\/の 喜の字

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