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2007年7月19日 (木)

猫ぢャ猫ぢャ その弐

 端唄にありまさァな。 猫ぢャ猫ぢャとおっしゃいますが、猫が、猫が下駄はいて絞りゆかたで來るものかッてのが。 これ、あれだそうで。お妾さんとこに急に旦那がお越しで、慌てゝ情夫(いろ)を裏から逃がす、そのどたばたを猫と言って誤魔化すとこを謡ったもんだそうでやすヨ。 なんですッてネ。意地とハリで売った辰巳芸者ハ囲われる身になっても、旦那一人に間夫(まぶ)一人ッて言ってそのくれへ当り前だッて気構えだったそうでね。その度量がなかったら、旦那になんかになるなッてネ。お江戸の本読んでおりやすト月三両の三月縛りなんてのことが書いてありやす。三月限りのお囲いさんッてことだ。囲う方も囲われ方もさば\/しておりやすねェ。べたつかないのがいゝヤ。そこが江戸の気風のよふだネ。 このまえ、猫の咄ィ書いてゝ気づいたンだが、三味線(さみせん)のこと、猫ッて言ふンだそうで。猫の皮張ってあるからネ。そいで、それを弾く芸者さんのことも猫ッてそうでやすヨ。いまのことかどうかは判らねへ。とにかくお江戸の比(頃)ハそう言ったのヨ。 でネ。昔、行火(あんか)ッてのありやしたでしょう。炬燵のちいせへのよふなもんだがネ。土の焼きもんで、四角い小箱のようになってゐて、上は丸くなってゐて、四方に穴ァ開いてゐる。そン中に炭火を入れて、上に布団かけてあッたまる、冬の道具だ。暑くてしょうのねへ真夏に言ふ咄ぢァねへけど、ついでだから聞いておくんな。 それヲ猫とも言ふのヨ。お江戸ハ浅草の今戸で焼いていたそうでネ。あっしのこども時分にァ、よく使いやしたヨ。今戸焼ッてえバ狐(※1)かと思ってたら、猫もあったッてわけだ。蚊遣の豚も焼いてたそうだから、今戸はけっこう毛もの作ってたッてことだ。 どこまで咄たかね、猫だネ。 そう言やァ、猫抱いて寝るッて詞(ことば)ァありやしょう。あっしァずっとそれハ本もんの猫か、行火のことだとばッかし思っておりやしたのサ。いゝ歳こいて初な咄ヨ。 猫ッて芸者さんのことだとサ。やっと世間が判ってきやしたよ、この歳ィして。ちと遅かったねェ。 (※1)狐。落語に「今戸の狐」がある。売れない噺家が今戸焼の狐の彩色で糊口をしのぐ噺。

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コメント

 旦那の来世は猫ですかい。そしたら、あたしン処え来ておくンなさいなッ。猫が猫抱いて、猫ぢゃ猫、でも、二日に一度じゃ三味にして一生抱いてやる。

仇吉姐さん江

 猫に生まれ変わって気まゝに暮らすなァ夢ヨ。浮世に果たす義理ハなんにもござんせんッて顔してネ。 
 縁側で顔洗って伸びして昼寝して。そいで飽いたら路地裏の常磐津の師匠ンとこの三毛ェからかいに行ってネ。
 そのめへに姐さんに三味にされて抱かれて暮らすのも、乙粋ッてもんだゼ。
 こいで安心、来世ハ。

 極楽とんぼの 喜の字

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