あつしァ三日とあけずに透析養生所に通ひつめておりやしてそこにやァ同病憐れむッてお仲間が大勢さんおりやすのサ。そんな中で風流にも川柳をやらふぢやねへかと言ひだしたお人がおりやしてネ。丁度能(いゝ)あんべえに娑婆で川柳の会を仕切つてるお方がおりやすンでそのお人に肝いりになつてもらつてこの初夏にはじまつたト思ひねへ。
川柳ッてのはなんですッてネ。いつち出来の能のを天、つぎが地、それから人の位があつてその下が五客、これァ五人がえらばれるわけですナ。どん尻は秀。これは人数の枠はありやせんそうで、その下は塵でふつうは捨てちまふンだがお情けで書きならべるだけはしてくれることになりやしたッてわけだ。
第一回目のお題は「透析。渋ふござんしよう。並の会ぢやァこんな題だしやせんゼ。投句はひとり三句までッてンでへたな鉄砲なんとやらあつしもねへ天窓(あたま)ァしぼつて三句ひねりやしたゼ。その内の一句が五客にへえりやした。ご披露いたしやしよう。
透析は厭というくせ皆勤賞
もふ一句は秀にひつかゝりやして、
一週を三日昼寝のいい男
こりやァ言ふまでもねえ江戸ッ比(ころ)の角力(すもう)取りをよんだ一年を十日ですごすよい男の本謌取りでして。しめえに肝いりの総評ッてのがついておりやしてネまァ素人の句会なんで要領ッてェか悪ひ例が書ひてありやしたそン中にあつしの労作が、ひねりすぎてわかりにくい句としてあがつてンのヨ。こんな句だヨ。
この病打つでなつたはためしなし
どうでございやす。わかンねえだらふ。川柳はなぞかけぢやァねえがうがちもなけりやァ洒落になんねえ。呑む打つ買うッてむかしから言ひやすナ。呑みすぎて糖尿になりあげくぬ果ての腎不全ッてのもありやァ男殺しの婀娜な女にみこまれての腎虚の果てッてのもありやしようが博打にのめりこんで腎不全ッてのはありやせんのサ。
ちなみにこン回の天は「透析に明日の夢を支えられ。地は「びくびくと計りにあがる月曜日。これは鳥渡(ちよいと)説明がいりやすナ。あつしらの体ァお小水がでやせんのでそいつを透析で血の中から抜きやすンだが土日は透析がねえンで二日分水がたまつちまふ。それで体重の増えが気になるッてェことでしてネ。人は「透析時拙句捻って一人悦。
第二回目のお題は「楽しみ。こりやァかなり巾があるお題でございやしたな。こんどもあつしァ三句ひねりやしたゼ。そのうち二ツが秀にへえりやした。
楽しみはニに酒飲みて三に打ツ
鮨をちょい薬喰ひとてちょいはよし
こいつァなんですゼ。楽しみの一番はこゝにやァ書けねえやッて洒落でしてネ。次の句の薬喰ひッてのは江戸ッ比(ころ)もゝんぢ屋なんてのがあつてそこで牡丹だ桜だなんて言つて猪だの馬を滋養があつて力がつくッてンで駕篭舁だの仕事師(鳶)に喰わせたンだ。
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